東京オリンピック、大阪万博に沸いた頃の日本でその事件は起きた。
この事件の裁判では、ある人間の《幸せか不幸か》が争点となり延々と議論された。
そんな裁判は後にも先にも存在しない。知られざるトランスジェンダーの歴史がここにある。
これは事実にもとづく物語。
1965年、オリンピック景気に沸く東京で、街の浄化を目指す警察は、街に立つセックスワーカーたちを厳しく取り締まっていた。
ただし、ブルーボーイと呼ばれる、性別適合手術(*当時の呼称は性転換手術)を受け、身体の特徴を女性的に変えた者たちの存在が警察の頭を悩ませていた。
戸籍は男性のまま、女性として売春をする彼女たちは、現行の売春防止法では摘発対象にはならない。
そこで彼らが目をつけたのが性別適合手術だった。警察は、生殖を不能にする手術は「優生保護法」(*現在は母体保護法に改正)に違反するとして、ブルーボーイたちに手術を行っていた医師の赤城(山中 崇)を逮捕し、裁判にかける。
同じ頃、東京の喫茶店で働く女性サチ(中川 未悠)は、恋人の若村(前原 滉)からプロポーズを受け、幸せを噛み締めていた。そんなある日、弁護士の狩野(錦戸 亮)がサチのもとを訪れる。実はサチは、赤城のもとで性別適合手術を行った患者のひとり。赤城の弁護を引き受けた狩野は、証人としてサチに出廷してほしいと依頼する。
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