ポーランドのユダヤ人強制居住区から脱走した8歳のスルリックは飢えと寒さから行き倒れとなり、ヤンチック夫人に助けられる。夫人は、一人でも生き延びられるよう　’ポーランド人孤児ユレク’としての架空の身の上話を覚えさせる。教わった通りにキリスト教の祈りを唱え、寝床と食べ物を求めて農村を一軒ずつ訪ね歩くユレク。
救いの手を差し伸べる者、ドアを閉ざす者、利用する者。やさしい家族に受け入れられて束の間の平和をつかみかけても、ユダヤ人だとばれては次の場所へ逃げなくてはならない。

少年が出会う様々な大人たちの姿から、人間の残酷さと優しさを知ることができると、絶賛された。

原作は国際アンデルセン賞受賞作家のウーリー・オルレブが、今も存命の本人に取材して書き上げた「走れ、走って逃げろ」（岩波書店）。