徳島県阿南市出身の北條民雄は、17歳でハンセン病を患い、東京の隔離病院に入院しました。 何度も死を考えますが、死にきれず、自らの生の価値を見いだそうと文学にすがりつきます。そして、病院の中から川端康成に送った「いのちの初夜」は、小林秀雄が「文学そのもの」と評するなど大絶賛を浴びました。
本展では民雄の直筆原稿や遺品、川端康成との往復書簡、当時のハンセン病資料などを展示し、民雄が文字通り命を削って書いた作品と、その生涯を紹介します。病院の片隅で、文学にいのちを燃やしたひとりの作家の心に触れていただければ幸いです。