わずか12歳で裁判を起こしたゼイン。訴えた相手は自分の両親だ。裁判長から「何の罪で?」と聞かれたゼインは、まっすぐ前を見つめて「僕を生んだ罪」と答えた。
中東の貧民窟で生まれたゼインは、両親が出席届を出さなかったため自分の誕生日も知らない。法的には社会に存在すらしていない。学校へ通うこともなく、兄弟たちと路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に働かされていた。
本作は リサーチに3年を費やし、監督が目撃し経験したことを盛り込んでフィクションに仕上げた。
苛烈なまでの中東の貧困と移民の問題に、一歩もひるむことなく果敢に挑んだ監督は、レバノンで生まれ育ったナディーン・ラバキー。
監督・脚本・主演を務めたデビュー作「キャメル」が、いきなりカンヌ国際映画祭の監督週間で上映された逸材だ。